同じ空間であったとしても、昼夜の違いだけで見せる表情は大きく異なる。
昼は太陽光が空間の隅々まで行き渡り、空間全てを如実に映し出す。
昼間の空間は、空間そのものが主役になり、見ている者に自身の美しさをアピールする。
我が家の場合、一番アピールしているのはキッチンの澄み切ったその青い壁だ。
青という色は、後退色と呼ばれているそうで、周りにあるものより後ろにさがって見えるそう。
そのおかげもあるのか、手前にある物をくっきりと映し出す。
奥ゆかしいその主張は、空間全体の調和を取り、その前のモノたちに彩を与える。
まさに空間自体が空間を作り出している。
一方、夜はどうだろうか。
人工的に発せられた光によって、空間がオブラートに包まれる。
光量や光源の種類によっては、光が当たらない部分が発生し、光のあるところはなぜか暖かい。
そしてアピールしてくる者も夜になると代わる。
ライトから発せられる光や、その周りのカサだ(当然といえば当然ではあるが)。
昼間は当たり前に存在しているが故に存在感がない光だが、夜は一変、光の独断場だ。
光が主役となり空間を彩る。空間は光のお膳立てをするわけだ。
僕はこの光に彩られた世界がたまらなく好きである。
もちろん、昼間に見られる空間のアピールも好きだが、夜には敵わない。
光の向きがほんの少し違うだけで見せる表情が全く異なるし、光の色味も大きく影響しているだろう。
蛍光灯のような青白い光では空間を彩ることはできない。光が空間のお膳立てをするだけだ。
3000Kほどの暖かみのあるあの光が、空間を一回りも二回りも成長させるのである。